日本の窓を、考える by LIXIL
開放性を実現し、建築と融合する。
Dialogue 中山章(建築家・東洋大学) 佐藤伸一、宮本進一(LIXIL)
『コンフォルト』2018 April No.161 掲載
寝殿造りの面影を持つ空間構成
佐藤:
ところが、今の世界の窓のトレンドは大開口へ向かっているんです。ヨーロッパの新築住宅を視察すると、ドイツもフランスもどんどん大開口の窓が増えています。むしろ開放する暮らしの習慣を持っている日本の、われわれメーカーが足踏みをしていた。もっとユーザーの方々や、ユーザーの方々の代理である建築家が望むような開放性を実現する、次の時代の製品開発へ向かうと同時に、ものづくりの態勢も含めて考え直していく過渡期にあるんです。
中山:
意外なお話で、驚きました。2020年には新築住宅の省エネ基準が義務化されます。断熱性能を上げるために窓もいっそう重装備になるし、熱負荷が増す大開口は、これからの住宅ではますます遠のきそうだと思っていました。
宮本:
国内でも、以前は北海道の窓は断熱のために小さかったんですが、ガラスの性能が格段に上がりました。北海道も夏は暑いし、換気はしたいので、開口が大きくなっています。高性能のガラスを支える機構もできていますから、今後は日本全体に大開口が可能になりますし、私たちはさらにその先にデザイン性や、開放する気持ちよさの実現を目指しています。
じつは、いままで日本の窓が断熱性能を上げる競争をしているあいだに、ヨーロッパはすでに断熱競争を終えてデザイン化へ向かい、大開口が進んでいたんです。日本は鎖国状態にあったとも言えます。
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公開日:2018年09月30日