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「ベルリン・モダニズム集合住宅と変貌を遂げるダッチデザイン国・オランダ」
安藤眞代 (インテリアデザイナー、studio Ma 代表)
ベルリンの街に息づくタイル、新旧入り混じる建築デザイン
世界遺産「ベルリンのモダニズム集合住宅群」は、ベルリンの中心部から地下鉄を乗り継いで行くことができます。その移動中、駅や街中で素敵なタイル仕上げの壁面や建築デザインにしばしば目がとまりました。
ホームの柱にあった深いグリーンのタイルや、地下通路のレトロで色味のきれいなタイルなどです。哀愁を感じさせるデザインのものが多く、タイルが街に息づいていることがよくわかります。ベルリンは気候的に寒いので、色味を取り入れるのが上手だと感じました。
街にある建築はカラーリングに目を惹かれるものが多い印象でした。ベルリンは北欧に近いこともあるためか、水色のような北欧的な薄い色味がうまく用いられていました。
また、ベルリンは第二次世界大戦の戦禍に見舞われた街故に、ヨーロッパの他の街と比べ、昔の建物よりも戦後の建物が多くあります。戦禍を免れた古い建物は「アルトバウ」(ドイツ語で「古い建築」の意)と呼ばれ、19世紀後半から20世紀初頭に建てられた石造りの建築のことを指します。戦後の建築は画一的ではないデザインのものが多く、窓を多くとりガラス張りで自然光を取り入れるという建築もよく見られました。
アルトバウ。築年数は経っていますが、外壁を綺麗な色で塗り替えるなど、改装されているようでした。アーティストやミュージシャンなどのクリエイターにはアルトバウの古さが良いデザインとして受け入れられ、非常に人気があるとのことです。タイルを活かした建物も多く、建物は古いですがしっかりと手入れされていました。新旧の建築が入り混じる街の様子は、他のヨーロッパとは違うベルリンらしさだといえるのではないでしょうか。
アルトバウに住んでいる知人の部屋のキッチン。前に住んでいたクリエイターが壁に貼っていた、日本語の貼り紙「トヨタ」「東芝」はおしゃれという感覚でそのままにしています。照明のシェードは、ペットボトルを再利用していました。
1階部分がタイル張りになっている建築。番地表示のタイルがデザイン的に可愛らしかったです。
こちらも水色の使い方が印象的な店舗の外壁タイル。街のいたるところにタイル仕上げの建築が見られました。
ベルリンにはカフェが多く、人々はくつろいだ時間を過ごしているようでした。古くからのカフェもあれば、新しくてデザインの素敵なカフェもありました。こちらのカフェは古い建築の枠やステンドグラスをうまく活かした内装になっており、枠の色を塗り直してとても可愛らしい印象の空間になっていました。
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公開日:2021年03月24日