住宅をエレメントから考える(後編)
間仕切りのイメージ
塩崎太伸(建築家)
『新建築住宅特集』2016年4月号 掲載
建具は閉たてる道具が語義とされ、ある世界を分節して領域を囲いとることが目的となる。だから西洋世界でそうであったうに堅牢な壁やドアで固く閉ざすことが一般的にはプライバシーを保つことであると今でも信じてしまいがちだ。しかしながら興味深いのは日本においては、むしろ逆に開け放つことこそプライバシーを保つことであった。「人払い」といって建具を開け放ち見渡せる範囲に安全が確保され見通せることが重要だったのだ。住まいを開いて都市とともに生きる方法を模索する時、私たちはそういう感覚を取り戻してきた気がする。
背景:「ひろばの角のバルコニーハウス」手塚貴晴+手塚由比
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公開日:2016年08月31日