窓上手のテクニック/Livearthリヴアース 大橋利紀の心地よく自然とふれあう住まいのつくり方
設計手法E その先の豊さへ 数値化できない価値の追求 事例「夕暮れの家」1
ここまでは、光や風の「心地よさ」を定量評価し、わかりやすく視覚化する手法を紹介してきましたが、ここからは「その先の豊かさへ」をテーマに数値化できない価値をいかに追求するかをリヴアースの事例を交えながら解説します。
事例解説「夕暮れの家」
●敷地の周辺状況
・愛知県(6地域)の都市型立地。冬場の日射量が多い温暖地域で、近くに一級河川が流れる。
・敷地は南西面(ほぼ西向き)に道路があり、道路以外の3方は隣家が近接する36坪の狭小地。
・2階の窓からは河川とその上空に広がる南西側の風景を一望できる。
・観察・聞き取りをしたところ、周辺に2階リビングの家はなく、1階リビングのカーテンが昼間から閉まっている家が多い。
南西面が道路で、それ以外は隣家が迫る狭小地
この立地の利点は、2階の窓から河川と上空の風景を一望できるところ
●日影シュミレーション(4時間以上日影になる部分を表示)で建物の配置を検討
《冬季》
12月:敷地の水平投影面70%ほどが4時間以上影になる
1月:敷地の水平投影面70%ほどが4時間以上影になる
2月:敷地の水平投影面60%ほどが4時間以上影になる
12月:敷地の水平投影面70%ほどが4時間以上影になる
1月:敷地の水平投影面70%ほどが4時間以上影になる
2月:敷地の水平投影面60%ほどが4時間以上影になる
1枚目:12月の日影シミュレーション、2枚目:1月の日影シミュレーション、3枚目:2月の日影シミュレーション
《夏季》
8月:敷地の水平投影面65%ほどが4時間以上影になる→日射熱を遮蔽できるので助かる
8月:敷地の水平投影面65%ほどが4時間以上影になる→日射熱を遮蔽できるので助かる
8月の日影シミュレーション
●配置計画・方針
・建物を真南に向けるのは難しく、狭小地のため敷地全体に建物を配置する必要があるため、南西面道路と並行に配置し、南西側の絶景を眺める2階リビングを採用。駐車スペースを1台確保。
・夏の開口部の西日対策を重点的に行う。
・軒の出を1200強、屋根を5寸勾配とし、「夏の日射熱対策」と「冬の日射熱取得」と「小屋裏利用」の3つに複合的に対応する住まいとする。
●平面図
・《赤い矢印》は冬場の日射取得と風景、光を楽しむ窓、《青い矢印》は風を抜くための窓。
・隣家とは手が届くほど近接しているため、風景は楽しめないが、風を抜くことだけを目的にした窓を北・東・南面に設定した。