窓上手のテクニック/Livearthリヴアース 大橋利紀の心地よく自然とふれあう住まいのつくり方

設計手法D 心地よさの見える化 4 日射遮蔽

日射遮蔽の目的は2つ、実現するためのポイントは3つあります。 
[目的]
@冷房エネルギーの削減
A室内を涼しく保つ
[ポイント]
@ 方位による日射量の違いを考慮する
A 部位(屋根・壁・窓)それぞれの日射熱取得量の比率を考慮する
B 冬場の日射熱取得にも配慮する

日射遮蔽5つのステップ

そして、5つの検討ステップがあります。
ステップ1:敷地周辺状況の確認・目標レベルの設定(敷地の日陰シミュレーション)
ステップ2:開口部の日射遮蔽手法の検討(室内の日照シミュレーション)
ステップ3:屋根の日射遮蔽手法の検討
ステップ4:外壁の日射遮蔽手法の検討
ステップ5:その他の日射遮蔽手法の検討
ここでは、ステップ1、2、5について触れたいと思います。

夏至、真夏、冬至の敷地の日陰を見る

[ステップ1]
まず、敷地周辺状況を確認します。夏至の6/22だけでなく、真夏の時期で確認する必要があると同時に、冬の日射熱取得も考慮し、冬至の頃に日陰がどのようにできるかをシミュレーションします。
「堤の家」
左が真夏8/22頃、右が冬至12/22頃の日陰シミュレーション。冬至には敷地の大部分が影になる
夏至、真夏、冬至の敷地の日陰を見る
「堤の家」
堤防沿いにあり、周辺に住宅が隣接する過密型立地。シミュレーションにより、敷地の南側半分が隣家とかぶり、冬場は地面の大半が陰になることがわかった。この結果をもとに、日陰の影響が少ない北側と西側にLDKを配置。頂側窓を採用して吹き抜け経由で日射熱取得と昼光利用を行い、夏場の日射遮蔽は大屋根の庇と小庇で大部分をカバーしている。“普通”に設計すると暗く開放感のない家になるところを設計の力で快適な空間にすることができる
「堤の家」

開口部を何で日射遮蔽する?熱取得、情緒性も一緒に

[ステップ2]
次に、開口部の日射遮蔽手法として、屋根、開口部上の庇、すだれ、格子、外付けブラインド、窓ガラスの種類を検討します。
なかでも、庇による日射遮蔽は有効で、南面に関しては「軒の出」と「開口部の位置」を適切に設定することで、日射遮蔽と日射熱取得、情緒性を共存させることができます。

南面以外の開口部はどうするか?

[ステップ5]
南面以外はすだれや格子などの「付属部材」と「Low-Eガラス」を使って日射遮蔽を行います。
「暁の家」
正面が北側の窓、右側が東側の窓。夏場の朝日を遮るのに庇では不十分なため、格子網戸を重ね、日射遮蔽型のLow-Eガラスとした。格子網戸は夏の日射熱を遮蔽しつつ、情緒性も加わる
「暁の家」

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