フランク・ロイド・ライト生誕150周年記念

帝国ホテルの「インペリアル タイムズ」を支える「LIXILものづくり工房」の仕事

『コンフォルト』2017 August No.157 掲載

やきものの可能性を建築に活かそう

当時と現代で大きく違うのが材料と焼成の技術である。研究が進み、表現したい色とテクスチャーをマトリックス状にコントロールすることができる。「それでも窯の大きさ、内部に置く位置などによって、焼き色に多少ばらつきが出る。それがやきものです。むしろ、ばらつきが欲しい場合は、材料の調合を変えて色の振り幅を広げることができます」。
こうした基本技術は、建築家やアーティストの制作をアシストする場合も大いに発揮される。「さまざまなアイデアを形にできるだけの力を蓄えています。魅力的な造形なのに量産効率が低くて実現しにくいといった場合も、僕らは手づくりでいけるし、つくりながらもっとおもしろいものが生まれる可能性があります」。芦澤さんも竹内さんもデータと手の感覚の両方をもち、やきものの歴史的デザインにも触れている。
LIXILものづくり工房のパワーはこれからの建築をきっと生き生きとさせる。

帝国ホテル 東京 「インペリアル タイムズ」がオープン

ライトの生誕150周年を記念して、2017年6月8日にオープンした本館1階メインロビー内の常設展示スペース。オープン以来、内容一部変更しながら当時の図面や模型など見れる。ライト館の意匠が残るメインバー「オールドインペリアルバー」ではオリジナルカクテルが供されている。またフランク・ロイド・ライト財団監修のもと設計した特別室「フランク・ロイド・ライト_スイート」に宿泊できるインペリアルクラブ会員専用の宿泊プランも用意されている。(2018年3月31日まで)

常設展示スペース「インペリアル タイムズ」では「光の籠柱」、大谷石とスクラッチタイルの柱を再現。ライト館の意匠を楽しむことができる。帝国ホテル初代本館の模型や、宿泊したVIPの写真も。この展示ケースはタイムカプセルがイメージされている。内装デザイン:西本剛己(明星大学デザイン学部教授)。
「光の籠柱」。LIXILのものづくり工房で復原したテラコッタとスダレ煉瓦。1960年頃ライト館に勤務していたスタッフは、これを見て往時の館内の思い出が鮮やかに蘇ったと語っていた。
帝国ホテル旧本館の平面図(帝国ホテル所蔵図複製)。
1958年に開店したインペリアルバイキングのメニューブック、第11代料理長・村上信夫のコックコートと愛用の銅鍋。
ケース内にはライト館模型、宴会場・孔雀の間で使われた椅子、照明・換気口用テラコッタなどが展示されている。

帝国ホテル 東京

東京都千代田区内幸町1-1-1 tel 03-3504-1111
https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/

LIXILものづくり工房
愛知県常滑市奥栄町1-130(INAXライブミュージアム内)
https://livingculture.lixil.com/ilm/ceramicslab/
※INAXライブミュージアムは(株)LIXILが運営する文化施設です。

取材・文/清水 潤 撮影/梶原 敏英(特記をのぞく)

雑誌記事転載
『コンフォルト』2017 August No.157掲載
https://www.kskpub.com/book/b479880.html

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公開日:2018年03月31日