川口ハイウェイオアシス×LIXIL

新たな賑わいを創出する首都高初のハイウェイオアシス

大沼伸康(川口市)、中原格(首都高速道路株式会社)、山下昌彦、宮本裕一郎(株式会社UG都市建築)

ラインと色で周辺環境を調和させる

宮本裕一郎氏株式会社UG都市建築
建築設計部担当部長

宮本 裕一郎氏

──風景をつなげるためにどのような工夫をされましたか。

宮本氏:

ランドスケープについては川口市様、首都高速道路様と何度も協議のうえ、アースカラーを主体とした色で統一し、高速道路側も公園側も一体でつながっているという表現をしています。高速道路側から公園側まで外床にボーダーラインを通して、同じひとつの空間を表現しました。外構のストリートファニチャー、照明やサイン、フェンスなども全てダークグレーで統一して、目立たせずに景観に馴染むような色合いにしています。
公園側にはテラスが張り出していますが、テラスの先端やスロープ、デッキのコンクリートの鼻先をつなげて水平ラインを統一しました。さらに建物や屋根の水平ラインと合わせて、公園の歴史自然資料館やめぐりの森とも水平ラインを揃えています。公園側から見ると各施設がひとつにつながったようなデザインになっていると思います。
室内空間については、広い天井をできるだけ一体的に見せられるように、諸室は天井より一段低い箱として、上部の欄間はできるだけガラスを用い、ダクトなど設備をあらわしにすることで、開放感のある空間としています。

川口ハイウェイオアシスの各施設

川口ハイウェイオアシスの各施設は建物や屋根の水平ラインを統一し、ひとつの空間を表現した(提供:UG都市建築)

地域交流拠点棟・休憩室

休憩室のトイレ

室内は一体的で開放感あふれる空間になっている。写真①は地域交流拠点棟・休憩室で奥にトイレ(写真②)が続く。床にはLIXILのタイルを使用している(写真:エスエス企画)

──外構にはフェンスなどのLIXIL商品が採用されていますね。

宮本氏:

フェンスについては、高速道路の区域、一般道の区域をセキュリティ上、仕切る必要がありました。外からなかに入れないように、大きく3種類のLIXILのフェンスを使い分けしています。
まずひとつ目。民家のある隣地境界はアルミの目隠しフェンスを使っています。特に夜間は、車両照明のグレアが隣家にいかないように、光や視線を完全に遮る目隠しフェンスとしました。
次に、首都高の駐車場と一般道の駐車場を分けるフェンスは、景観上は目線が通るようにしたいということから、スチールのメッシュフェンスを使用しています。

フェンス「ミレーネ2型」

民家の隣地境界線に設置された目隠しフェンス「ミレーネ2型」。フェンスのつなぎ目が目立たない構造で、35㎜の連続するスリットが美しい。夜間、隣地へのヘッドライトのグレアもしっかり遮断する

メッシュフェンス「ハイグリッドフェンスNA型」
メッシュフェンス「ハイグリッドフェンスNA型」

首都高の駐車場と一般道の駐車場を分けるメッシュフェンス「ハイグリッドフェンスNA型」。見通しがよく空間を途切れさせない。セキュリティはしっかり確保しながら最大限の透過性を発揮する

建築物の周りに設置するお客様から最も目立つ部分のフェンスについては、縦格子状のアルミスクリーンフェンスを使用しています。縦格子が建築物の一部として連続していく表現としています。バックヤードにも同じく建築物の一部として縦格子のスクリーンフェンスを設置しています。
公園側の接続部は夕方に閉鎖するので、こちらも縦格子状のスライド門扉を採用しました。周囲の建築物と景観、デザインに合わせて縦格子にしていますが、スムーズに開閉できるような機構になっている点がポイントです。こちらもほかのストリートファニチャーと同様、全てダークグレー色で統一しています。
ほかに駐車場には車椅子の方が使われるスロープがあり、こちらにも手すりがついています。お客様が触る部分に、夏は熱くなり過ぎず、冬は冷たくなり過ぎない樹脂製のカバーを使ったユニバーサルデザインの手すりを採用しました。

「アーキラインスクリーンフェンス」と「ジャンボスライドN-AL型」

「アーキラインスクリーンフェンス」と「ジャンボスライドN-AL型」。建築物の壁面線に合わせて縦格子のアルミフェンスを使用。後ろの公園の緑を感じながら建築的に境界を構成する要素としている

「アーキラインスクリーンフェンス」と「ジャンボスライドN-AL型」
アーキラインスクリーンフェンス

建築物の一部として見えるようにバックヤードの設備機器の目隠しにも「アーキラインスクリーンフェンス」を設置した

引戸「パラレーロAL型」

公園は夕方になると閉めるためセキュリティ上、パーキングエリアから出入りできないように境界に引戸「パラレーロAL型」をつけた。操作しやすい大き目のロックハンドルや音と振動を吸収するストッパーなどを採用したユニバーサルデザイン仕様

手すり「サポートレールUD」
手すり「サポートレールUD」

ユニバーサルデザインの手すり「サポートレールUD」。誰にでも握りやすい卵形ビームに、熱くなり過ぎず、冷たくなり過ぎない樹脂カバーを採用。下段ビームが上段ビームより25㎜通路側に出ていて、連結部がスロープ状のためスムーズに伝い歩きできる

──これからの施設に求められる外構商品はどのようなものでしょうか。

宮本氏:

景観的なことでいえば下地材などがあまり目立たないもの、例えば、表からも裏からもデザインが綺麗に見える商品があるといいと思います。また昨今、環境の変化が顕著ですが、なかでも水害、浸水などの安全対策が必ず設計の中で求められるため、外構製品もそのような点への配慮が必要になっていると思います。

川口ハイウェイオアシスデータ

所在地 埼玉県川口市赤山501-1
施工事業主 川口市、首都高速道路サービス株式会社
設計 首都高速道路株式会社、株式会社UG都市建築
敷地面積 11,121.60㎡
建築面積 3,012,53㎡
延床面積 2,708,39㎡
構造 鉄骨造、一部RC造
用途 ハイウェイオアシス(公園、物販店舗、飲食店、遊技場、公衆便所、集会所、自動車車庫)
竣工 2022年4月
LIXIL使用商品 メッシュフェンス:ハイグリッドNA型、HGNA門扉
目隠しフェンス:ミレーネ2型(縦目隠しタイプ)、ミレーネ2型門扉
UD手すり:サポートレールUD フロントビーム2段
大型引戸:ジャンボスライドN-AL型 E2 つの出し格子スクリーンタイプ、ジャンボスライドN-AL型 D1 縦格子タイプ
公園出入口引戸:パラレーロAL型 つの出しタイプ 特注
スクリーンフェンス:アーキラインスクリーンフェンス 縦格子フリーポールタイプ、アーキラインスクリーン門扉
休憩室、キッズスペース受付など床タイル:ストーンエッジ? 床用 300㎜角平 IPF-300/SEN-3
トイレ:トイレ用抗菌床タイル レストールキラミック(ドライ清掃タイプ) IPF-300/RSK-24D

取材・文/フォンテルノ
撮影/シヲバラタク、株式会社エスエス 小椋直浩(UG都市建築提供写真)、スタジオ・ネモ(人物)

駒ヶ根スタジオ 秋フェス2022 EXTERIOR for PUBRIC 30 MINUTES サイト
https://s.lixil.com/pam-public

LIXIL施工事例リンク
https://www.biz-lixil.com/case/transport/B210149/

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公開日:2022年11月22日