INTERVIEW 015 | SATIS
シンプルだけど複雑な家
設計:古澤大輔/リライト_D+日本大学理工学部古澤研究室(自邸)
トイレと浴室
メインのエントランスは2階ですが、この家の浴室は道路側に面していて、道路から直接アクセスできるようになっています。子供達が家の前の私道で水遊びをしたり、汚れて帰ってきた時にそのままお風呂に入ったりできるようにと考えたそうです。洗い場は図面のようにかなり大きくつくられています。浴室が玄関にあるというのは少しおかしい気もするのですが、ここでも先の両義性とも言える浴室やトイレを機能的なものとして考えたくないと言います。機能性とは別に、このトイレが日常の生活の中でどんな楽しい場所になって行くのか、居心地の良い場所になって行くのかを考えることも大事なことのようです。トイレと洗面が一体になったこの場所で奥さまが化粧をするときなどは、お子さんがトイレに座って話をしたり、本を読んだりしているそうです。またお風呂に入っている人と洗面を使う人が会話をかわしたりと、ここも居室の一部なのです。特に水まわりは機能優先になりがちなものを、そうならないように意識的にあえて普通とは違う文脈にいれて設計しています。その意味でトイレのリモコンやペーパーホルダーなどなるべく見えないところに置きたいとも言います。トイレをトイレらしくしない、浴室を浴室らしくしない、古澤さんらしい考え方です。
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公開日:2020年03月25日