INTERVIEW 012 | SATIS
つづき間という日本的空間を考える
設計:藤原徹平/フジワラテッペイアーキテクツラボ | 建主:Kさま
日本の間取りを読み換える
この家の間取りにおいては、吹き抜けは「中庭」、2階の寝室は「はなれ」の部屋、中庭と見立てた吹き抜けには外部を感じさせる大きな窓をつくり、外に張り出した階段は部屋と部屋をつなぐ渡り廊下に見立てています。そして、トイレは廊下の突き当たりというように、「かつての日本の町屋の典型的な平面構成を立体的にした」と言います。日本人の暮らし、日本人のDNAにこだわり、そこに社会の変化や未来の暮らし方への藤原さんのチャレンジがあるようです。
そしてなにより日本の家には、あえて風景を切り取ることで、外部の自然との一体感をつくるという特徴もあります。ここでは吹き抜けの窓から見える神社の森や、階段から見える前庭の一部などもそうした考え方です。そしてこれらの日本的ともいえる建築の手法は小さな空間をより広く、奥行きのある空間へと意識させるのです。
トイレと浴室の位置
トイレの前面、吹き抜けに面したところに通路があります。かつての典型的な町家が、トイレを家の居住部分から話して、離れの奥やや廊下のつきあたりに配置したのと似ています。トイレと浴室をこの吹き抜けに面したことで、暮らしの中心から「見え隠れ」する位置に置いたのです。家の中央付近にありますが、空間の構造上、家の中心に置いたという意味ではありません。
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公開日:2019年09月30日