INTERVIEW 007 | SATIS
ピクニックをするように暮らす家
設計:中山英之/中山英之建築設計事務所 | 建主:金子敦・泰子さま(グラフィックデザイナー)
フリーアドレスの照明
この家の照明は全部が動かせるように磁石で付いています。これは出来上がってから動かすこともできますが、照明の位置を決めるときに建主と一緒に確認しながら最適な位置を探したり、数を付け足したりしたと言います。計算しつくした家でありながら、それでも場所を決めないことが、住む人に主体性をもたせたいということなのでしょう。
垂直の意識を持つ
この家には大きな天窓があります。家を水平の関係で境界線や隣接する景色や社会との関係性を意識して、内と外との境界線を考えることはよくありますが、それより土と人間と地球といった上に繋がっていく感覚を大事にしたいと言います。確かにこの考えがこの家のダイナミックな空間の構成を形づくってもいるように思えます。様々な仕掛けがこの家をどう読み解いていくかを投げかけてくる家ですが、それとは別に垂直の意識という大きな視点がこの家をどこか大らかで楽しげで健康的な空間として完成されています。家の中から見える大きな窓から手入れの行き届いた庭が見えます。建主の金子さんは発芽を趣味としているそうです。様々な種を発芽させて植えるのだそうです。宇宙、地球、自分というような関係性の中で、先のピクニックの話のように、住み手自身がこの建築を住みこなしていくような能動的な家になっているのです。
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公開日:2018年01月31日