INTERVIEW 006 | SATIS

大きな空がある家 ──
9世帯のコーポラ

設計:成瀬友梨・猪熊純/成瀬・猪熊建築設計事務所 + 塚本二朗 | 建主:Kさま

水まわりを一箇所にまとめる

1階は水まわりだけが置かれています。風呂場と洗面には扉はなく、洗濯機置き場だけに扉がつけられ、見た目にもすっきりしています。洗面所の奥の勝手口から外の庭にも直接でられるようになっていて、かっこうの子供の遊び場になっています。集合住宅でありながら庭のある暮らしは快適ですし、お子さん達は夏の水浴びに大満足のようでした。ここでも、自然光を採り入れ、玄関から廊下、洗面、庭と視線が通るようにし、限られたスペースの中でも奥行きを生み出しています。

玄関から洗面所越しに庭を見る

玄関から洗面所越しに庭を見る。廊下と洗面は床仕上げが揃えられている。
photo: Masao Nishikawa

1階

1階(クリックで拡大)

2階

2階(クリックで拡大)

洗面所横の階段下に収められた洗濯機置場

洗面所横の階段下に収められた洗濯機置場。

コーポラティブハウスということ

全体計画をした成瀬さんと猪熊さんは、住人の人に家の中だけでなく建物全体の計画に参加してもらいたいと考えたそうです。
どうしてもそれぞれの人が自分の家へと関心が向きがちですが、共用部のあり方や素材、色などについてもみんなに考えてもらうためにワークショップを行ったそうです。そこからでてきたみんなの希望が地域に使われている素材としての石畳のイメージ。また窓の大きさもそれぞれの希望を叶えるようにしながら、下の写真のように外から見たときの統一感をつくるようにして外観にもみんなの意識を向けてもらうようにしたそうです。またこの建物は敷地の形状から建築基準法上、テラスハウスと呼ばれる各住戸のアクセスが直接地面に接するようにしなければいけないこともあり、共有スペースをつくることができなかったそうですが、せっかく共同で住むのですから、住戸へのアクセスの階段を工夫して、近隣の人の気配や出会う場所を意識的につくったそうです。こうした工夫もあってのことか入居者同士のコミュニティーも育ちつつあるようです。シェア・ハウスの第一人者として知られる成瀬さんと猪熊さんですが、コーポラティブハウスという分譲の形式でも人が集まって住むことへの長所を上手に引き出しているのでしょう。この建物のコミュニティーが今後どのように育っていくのかとても楽しみです。

成瀬・猪熊事務所にて、模型を前に語る3人

成瀬・猪熊建築設計事務所にて、模型を前に語る3人

コーポラティブハウスということ

photo: Masao Nishikawa

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公開日:2018年01月31日