「INAXタイルコンサルティングルーム大阪」オープン記念セミナー レポート
ミラノサローネ2019 トレンドウォッチング
安藤眞代 (インテリアデザイナー、studio Ma 代表)
2019年 デザイントレンド
最新技術や環境配慮などのトレンドから見えた建築・インテリアの新しい時代
2019年のサローネではいくつかの新しいトレンドを感じられました。
一つはフィリップ・スタルク(PHILIPPE STARCK)によるAI設計の椅子に代表されるような最新技術とインテリア/家具の融合です。
AIや3Dプリンターを使って家具やインテリアを作ることで、過去の習慣や思考方法にとらわれないデザインが出てくる可能性というのを感じました。
二つ目は環境に配慮した/サステイナブルな素材と生産システムへの意識の高さでした。
中でも、再生可能な資材から作られたバイオプラスティックは注目の素材で、多くのブランドがバイオプラスティックを用いた家具やインスタレーションを展示していました。
ファッションブランド「コス(COS)」によるバイオプラスティックを3Dプリントしたインスタレーションは圧巻でした。
16世紀からの歴史ある宮殿や庭園に3Dプリンターで造形されたバイオプラスティックによるモジュールが幾何学的に構築される風景は多くの人が注目していました。
「カルテル(Kartell)」もアンナ・カステッリ・フェリエーリがデザインしたバイオプラスチック製のチェストを展示していました。
このようなテクノジーに支えられた環境配慮した/サステイナブルな素材は新しい時代を感じるとても面白いものでした。
三つ目は、色柄のトレンドともリンクするのですが、自然素材、アースカラーを意識した展示が多かったことですね。
「エルメス(HERMES)」は土、革、木、石という自然素材をテーマに来場者が楽しめるような展示にしていました。
「トム・ディクソン(TOM DIXON)」もレストランを借り切って、コルク素材を全面に使った展示をしたり、サローネに近い時期に開催されたチェルシーフラワーショーでは都市型農業をテーマに、植物や野菜を自給自足で行うための実験的庭園を展示していました。
このような自然を取り込む、自然との共生を感じさせるデザインも今年のサローネの大きな特徴だと思いました。
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公開日:2019年06月26日