ハーシュ・ベドナー・アソシエイツが手掛ける
ハイクラスブランドのホテルインテリア
上田良哉(ハーシュ・ベドナー・アソシエイツ東京オフィス プロジェクトディレクター)
ラグジュアリーホテルのトレンドは“回遊性”
近年のインバウンドの急増や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ホテル建設が目白押しの日本。そのホテルの設計に新しい潮流が生まれているという。眺望を取り入れた大きな開口部、半屋外のような開放的な浴室、自宅にいるようにくつろげる調度品や専用庭を設けるなど、設計の自由度がこれまでに比べて格段に増している。
数々のホテル設計に携わってきた上田氏に、最近のラグジュアリーホテルのトレンドについて伺った。
「トレンドとまで言えるかわかりませんが、最近のラグジュアリーホテルでは、部屋全体の構成として“回遊性”を考えた間取りになっています。洗面・バスルームが行き止まりではなく、通り抜けて部屋に戻れる間取りのホテルもあります。
ホテル ザ セレスティン銀座の一番大きなデラックスツインでは、入口前の廊下から右手のクローゼット・洗面・バスルームに入れますが、ベッドルームから直接入ることもできるように2つのアプローチをつくりました。また、ベッドルームとリビングの間に壁を設けず、造作を間仕切り的に設け、“抜け感”を出しています。
“回遊性”は必ずしも必要条件ではありませんが、それができることによって、いろんな位置関係がうまくいくのであれば、有効な考え方ですし、行き止まりがないと空間は広く感じますからね」
仕事の中で上田氏が常に心掛けているのは、好き嫌いが分かれるような極端に奇をてらったデザインは避け、ホテルとしてのベーシックをきちんと押さえることだと言う。使い勝手や機能性を何よりも優先し、その上でHBAらしさを出し、周りの競合との差別化を図る。そして、ホテルが商業空間であることを忘れてはいけないとも語る。
「予算のあるラグジュアリー物件では当然求められることですが、低予算の物件であっても、どこで何をすれば他の物件との違いを出せるのかを細かく検討しています。我々が扱っているのは商業空間なので、1枚の写真が販促ツールとして大きな意味を持ちますから、きれいだね、最近よくある感じのホテルだね、では絶対ダメなんですね。印象に残る部分をどこかで表現することを常に意識しています」
ホテルに泊まることが一つの目的となる“デスティネーション型のホテル”に求められるのは、華やかな非日常性の中にも、我が家にいるような心地良さ、そして心に残るシーンがあること。そこには、デザイナーたちによって考え抜かれた珠玉の空間があった。
■データ
名称 | ホテル ザ セレスティン銀座 |
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所在地 | 東京都中央区銀座8-4-22 |
主要用途 | 宿泊施設 |
設計 | 株式会社日建設計 |
インテリア設計 | Hirsch Bedner Associates |
施工 | 工新建設株式会社 |
規模 |
敷地面積 414.65m2 建築面積 348.31m2 延床面積 4,887.60m2 階数 地上14階 地下1階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造 |
竣工 | 2017年6月 |
公式サイト | https://www.celestinehotels.jp/ginza/ |
LIXIL 使用商品 |
■セレスティンデラックス:
|
Hirsch Bedner Associates WEBサイト
http://www.hba.com/
【LIXIL公式ホームページ】
施工事例サイトご紹介ページ
ホテル ザ セレスティン銀座:
http://www1.lixil.co.jp/case/business/宿泊施設/B170050
名古屋JRゲートタワーホテル:
http://www1.lixil.co.jp/case/business/宿泊施設/B170016
取材・文/フォンテルノ 撮影/エスエス企画
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公開日:2018年10月09日