窓上手のテクニック/PASSIVE DESIGN COME HOME 木村真二の窓上手になるパッシブデザインのコツ

対談B パッシブデザインのプロセス 1
株式会社PASSIVE DESIGN COME HOME 代表取締役 木村真二 氏×新建新聞社代表・三浦祐成 氏

日照シミュレーションの手法

三浦:ここからは自身の設計のプロセス的なことを木村さんに解説をいただこうと思います。
木村:設計プロセスで一番重要なのは日照シミュレーションです。
これをやるようになってからプラン変更が減りました。
手間をかけてやっていますが、その後の変更がなくなるので、結局は省力化されるように思います。
三浦:きちんと計算・シミュレーションしているので、お客様も変更を言いようがない?
木村:はい。「LDKをこっちにしたいんですけど」とお客様から言われても、「いやそれだと日射が入らなくなって寒くなりますが、大丈夫ですか?」って聞くと、「なるほど、じゃあそのまま」となります。
三浦:日照シミュレーションのプロセスも教えてください。
木村:先ほど触れましたが、私はずっと「スケッチアップ」を使っています。
まず周辺環境が大事なので、「Googleマップ」を開いて敷地周辺をスケッチアップにインポートします。
周りの建物を描き、その高さも現地で測るかGoogleマップから想定して入力し、ボリュームをつけていきます。
屋根形状も分かる範囲で入力します。
屋根を作る(周囲をドンドン作る)
木村:次に建築する敷地を線で囲い、どのように日陰ができるかをチェックします。
この例の場合、今後南の空き地に家が建つことまで想定して日照シミュレーションをかけました。
暖房期の一番寒い日を1月15日と想定し、その日にこの敷地でどれくらい陽が室内に入るか、何時にどれくらいに日陰になるかなどを、10 時から15時ぐらいまで確認します。
時間を変えて敷地の日照を見てみる

平面先行ではなく立体で、同時並行で考える

木村:この例の場合、日陰を確認すると、南を7mくらい空けると南の窓から日射が入ることが分かりました。
そういったことも考えながら、南の壁の位置を検討します。
南の壁の位置を検討する
木村:この際に、車庫や木をどこに置くかといったゾーニングも同時に考えます。
5パターンくらい考えて絞り込んでいくイメージです。
三浦:ゾーニングはラフでいい?
木村:ラフでいいです。巨匠もみなラフに描いていると思いますね。
あと、工務店の皆さん、特に若い方がプランを考える場合、間取り=平面で考えることが多いですよね。
パッシブデザインを取り入れる場合は特にですが、立体で考えた方がいい。
どこからどう陽を入れようか、どうやって遮蔽しようかといった想像をしながら、外観デザインも同時に整えていく。
私はさらにはゾーニングのスケッチ、スケッチアップでの日照の確認、立面の検討も並行して行っています。

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