窓上手のテクニック/PASSIVE DESIGN COME HOME 木村真二の窓上手になるパッシブデザインのコツ

設計手法H パッシブデザインにおける窓の選び方 2

適切な窓の提案は設計者の仕事

現状では、サッシを樹脂にするかアルミ樹脂複合にするか、悩むところだと思います。
省エネを考えて窓を選ぶ際は、窓の断熱性能(熱貫流率)と日射熱取得率の両方を見て考えないといけません。
そうして考えると地域や目指す省エネレベルによって選ぶべき窓は違ってきます。
もちろんお客様の予算もあります。
トリプルガラスの樹脂窓や木製窓にしたいと言っても、予算が厳しければ実現は難しい。
「光熱費などで元が取れるからいい」という考え方もありますが、私はそう簡単には提案できません。
こうしたことを色々考えながら、設計者がコストとバランスを考えて窓を選んであげる。
これが正しい窓の選び方なのかなと思います。
窓はお客様が選ぶものではなく、設計者がきちんと勉強し、計算・シミュレーションして、お客様に最適な提案をしてあげることが重要だと考えています。

価格&熱貫流率&日射取得性能&地域で比較

熱貫流率と日射熱取得率については、メーカーさんが出している「自己適合宣言書(+その付属書)」を見ると数値が出ているので、それを見て計算します。
熱貫流率=断熱性能で、値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。
日射熱取得率=日射による熱が室内に伝わる割合で、値が大きいほど日射熱を室内に取り込みやすくなります。
これを見るとLIXILさんの「サーモスUH」(アルゴンガス入り)の熱貫流率は遮蔽物なしで2.11、日射熱取得率は「クリア」の場合0.47です。
樹脂かアルミ樹脂複合?
「TW」(ペアガラス、アルゴンガス入り)になると、熱貫流率は1.62、日射熱取得率は「クリア」で0.47。
断熱性能は高くなりますが、日射熱取得率は変わらず、価格は高くなります。
TW 複層ガラス(アルゴンガス入り)
高性能窓の「EW」(トリプルガラス、アルゴンガス入り)になると熱貫流率は1.21になりますが、日射取得率は0.33と熱を取り込みにくくなり、価格もさらに高くなります。
※以上の数値は引違い窓の場合
TW トリプルガラス(クリプトンガス入り)
予算もあるので、家全体における窓の配置と窓の性能とコストのバランスを取りながら、窓を選んでいきます。
当社の場合、「バランス型パッシブデザイン」なら「TW」をベースにして検討を始めることが多いです。
予算があって性能をアップしたいお客様は「超高性能型パッシブデザイン」となることが多いので、その場合は高額な高性能窓も視野に入れて検討します。

ダウンロード資料

設計思想の研究や設計の参考にご利用いただける解説資料

ページの先頭へ