窓上手のテクニック/PASSIVE DESIGN COME HOME 木村真二の窓上手になるパッシブデザインのコツ

設計手法C パッシブデザインと高断熱の比較 1

「G 2パッシブデザイン型」の場合

このスライドは私なりにUA値とηACとηAHのバランスを整理したものです。
省エネはUA値とηACとηAHのバランスが重要
表の一番上が、最低の推奨ラインとしている、私が「G 2パッシブデザイン型」と呼ぶレベルです。
これをベースにUA値とηAC・ηAH、想定費用との関連を見ていきます。
ηA(イータエー)値=平均日射取得率は住宅にどのくらいの日射熱が入るかを表す数値です。
ηAC値は冷房期の平均日射取得率、ηAH値は暖房期の平均日射取得率。
共に値が小さくなるほど日射熱が取り込みにくいことを表します。
私はパッシブデザインを行うなら、冷房期の日射熱取得を抑えて涼しくするために、「ηAC値を1前後にしましょう」と言っています。
前回の断熱性能等級6・7の表にも、UA値だけでなくηACの基準値が示されていました。
6地域の等級6と等級7のηACの基準値は共に2.8で、これ以下とすべきとされています。
ここからするとηACが1前後というのは、かなり高いレベルだと理解できると思います。
ηACを1前後にするには日射遮蔽対策が不可欠です。
南面に大きな窓を取りつつ日射遮蔽を行なってηAC値を1前後とする一方で、暖房期に日射熱をきちんと取り込み、表で示したようにηAH値を2.5まで高めることで、等級6のUA値0.46でも、一次エネルギー消費量55,991MJ、BEI0.59の省エネを実現できます。
BEIについては0.6を切ることが最低限の省エネの目標だと考えています。

断熱重視の「G2断熱型/G3高断熱型」の場合は

一方で、同じ等級6(G2相当)のUA値0.46でも、日射遮蔽が不十分かつ窓を減らすなどしたηAC1.3、ηAH1.6の建物の場合、一次エネルギー消費量は58,230MJに増え、BEIは0.63となり目標である0.6を上回ってしまいます。
「G2パッシブデザイン型」よりも省エネ性能は低くなる一方で、窓まわりのコストが減るため費用は約20万円ダウンする見立てです。
この断熱重視の設計を「G2断熱型」と呼んでみましょう。
さらに等級7(G3等級)のUA値0.26まで断熱性能を高め、先ほどの「G2高断熱型」と同様にηAC1.3、ηAH1.6とした「G3高断熱型」の場合、一次エネルギー消費量は55,321MJ、BEIは0.58となります。
省エネだけをみると「G2断熱型」よりも一次エネルギー消費量は減り省エネになってはいますが、「G2パッシブデザイン型」と一次エネルギー消費量やBEIはわずかに下回るだけでそれほど変わらないことがわかります。
にも関わらず費用を「G2パッシブデザイン型」と比較すると、窓と躯体の断熱向上によって約200万円アップするという想定しています。

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