施工事例
CASE 09 1968年築のリゾート宿泊施設を海外富裕層向けにリノベーション
リノベーションした物件
施設名：「かわもとや」／所在地：長野県下高井郡野沢温泉村
施設名：「かわもとや」／所在地：長野県下高井郡野沢温泉村
松村デザイン建築事務所
代表取締役 松村大介 氏
代表取締役 松村大介 氏
松村デザイン建築事務所
設計部長 藤原清徳 氏
設計部長 藤原清徳 氏
BACKGROUND
野沢温泉村
長野県の北東部に位置する野沢温泉村は、その名の通り、村内に30余りの源泉が湧き出ており、地域住民で管理している共同浴場「外湯」が13箇所ある温泉地です。また、国内屈指の野沢温泉スキー場があり、冬はウィンタースポーツ、春から秋にかけては大自然の中でのアウトドアアクティビティーを楽しむことができます。近年では、外国人観光客で賑わうようになり、2019年の外国人延宿泊者数は約12万人泊（※）にも及んでいます。
※出典：長野県庁「令和元年外国人延宿泊者数調査結果」
1968年築の歴史ある旅館を魅力的に蘇らせる
リノベーション前の客室
ここ野沢温泉は、国内リゾートの中でも早い時期からインバウンド誘致に取り組んできたエリアで、海外の旅行者や移住者に向けて積極的にPRを行ってきました。
近年では、海外投資家が後継者不在あるいは事業継承を検討している旅館を買い取って、事業を再構築していくケースも増えており、「かわもとや」もそうした流れの一環といえます。
1968年築のこの建物をリノベーションし、コンドミニアムとして海外富裕層向けに販売していきたい。このようなご相談をいただいて、歴史のある旅館を魅力的に蘇らせるこのプロジェクトをスタートさせることになりました。
断熱性向上が最優先
上：解体後
下：リノベーション後
下：リノベーション後
「日本の住居はとにかく寒いから、断熱サッシを入れてほしい。」外国人のオーナーさまから最初に言われたのが、その言葉でした。
実は、野沢温泉の宿泊施設は1960年代のスキーブームの頃に建てられたものが多く、単板ガラスのアルミサッシが一般的。冬はマイナス10℃まで下がる地域なので、室内の冷え込みも厳しく、結露も発生します。そのため、建物の断熱性能向上は最優先事項の一つとなっていました。
当初は外窓交換を検討していましたが、防火認定がとりにくいなどの課題があり、内窓で対応することに決めました。
内窓設置は外窓交換と比較すると、手軽に断熱がとれて、結露がしにくく、費用対効果が得られる。さらに今回、壁の内側から吹付けウレタンの断熱工事も行っており、下地をつくる際に枠が出てくるため、内窓が設置しやすいという利点も生まれました。
結果的には、内窓に変更して正解だったと思います。
内窓設置は外窓交換と比較すると、手軽に断熱がとれて、結露がしにくく、費用対効果が得られる。さらに今回、壁の内側から吹付けウレタンの断熱工事も行っており、下地をつくる際に枠が出てくるため、内窓が設置しやすいという利点も生まれました。
結果的には、内窓に変更して正解だったと思います。
インテリアを引き立て景色に溶け込む「内窓」
インテリアと溶け込むライトオークの内窓
海外富裕層向けということもあり、性能面に加え、高いデザイン性も求められました。
インテリアのコンセプトは“和モダン”。内窓も和の雰囲気に合うものを探していたのですが、そんな時に木調フレームの内窓が発売されたという話を聞き、早速「インプラス for Renovation」のサンプルを取り寄せました。
インテリアのコンセプトは“和モダン”。内窓も和の雰囲気に合うものを探していたのですが、そんな時に木調フレームの内窓が発売されたという話を聞き、早速「インプラス for Renovation」のサンプルを取り寄せました。
実物を確認したところ、木目の風合いがとてもナチュラルで、オーナーさまもこの木調フレームを大変気に入っていただき、この内窓に決まりました。
内装をウォルナット系のカラーで検討していたので、内窓も濃い目の木調色を考えていたのですが、フレームが目立ち過ぎてしまうということもあり、ナチュラルな風合いで馴染みやすい「ライトオーク」を選択。
窓の向こうの景色にも溶け込みながら、和のやさしい雰囲気を演出できたのは、この内窓ならではの魅力だと思います。
窓の向こうの景色にも溶け込みながら、和のやさしい雰囲気を演出できたのは、この内窓ならではの魅力だと思います。
既存の建物の省エネ性向上もSDGsの一環
窓外は雪が積もっていますが、窓は結露していない様子
当社は、寒い家はつくらないという方針を掲げていて、新築はスーパーウォール工法（※）以下の性能の家をつくらないようにしています。基本的な考え方はリノベーションでも同じで、必ず窓の断熱改修をご提案するようにしています。
内窓は、寒さや結露の問題を簡単に解決できる商品で、費用対効果や施工性も含めて考えると、活用先は色々あると思っています。最近、地域の小中学校でエアコンが導入されましたが、光熱費がかさむため、内窓の設置を検討しようという話題もあがってきています。
また、SDGsの観点からも、既存の建物の省エネ性を向上させていくことが大切だと考えており、たとえば、古民家再生のようなケースでも、「インプラス for Renovation」なら和室にも合うので、既存の建物の内装を活かした窓改修ができるのではないでしょうか。
※スーパーウォール工法とは、高性能なスーパーウォールパネルと高断熱サッシ、計画換気システムが生み出す、高気密・高断熱・高耐震構造のリクシルがご提案する住宅工法です。