業のやきものの時間のなかで

日本六古窯・常滑でつくるSATIS

小栗康寛(とこなめ陶の森 学芸員)×神谷政武(LIXIL)×百瀬和巳(LIXIL)

『コンフォルト』2018 October No.164掲載

マットな質感とシックな色合いがインテリアの可能性を広げる

SATIS NOBLE LABEL

SATIS NOBLE LABEL左手はノーブルブラック、右手は新色のノーブルトープ。ブラックは住宅のほか、空間デザインを重視する商業施設のトイレとして好評。トープはファッショントレンドの人気色で、インテリアコーディネートに使いやすい上品な色合い。
便鉢の内部2タイプとも健康状態をチェックしやすいように、便鉢の内部はピュアホワイトの仕上げ。

進化し続けるテクノロジー

泡クッション泡クッション
男性の小用時、便座を上げると中性洗剤の泡が出て、泡の層が尿の飛沫を受け止め、まわりに飛び散るのを抑え、音もぐっと静かに。水、洗剤、空気の混合比、混ぜる順番を試行錯誤した成果。洗剤の補給は機能部のカバーを外して行う。
アクアセラミックアクアセラミック
水アカ汚れが通常の清掃だけで簡単に落ち、表面を美しく保つ。従来品の防汚技術の抗菌キラミックやプロガードの防汚技術を生かしつつ、先進機能を実現した。
AQUA CERAMIC

初めての質感と色合いにチャレンジする

SATISサティス(Gタイプ)のノーブルレーベルも時代に応える常滑スピリットから生まれた製品である。インテリアに関心の高いユーザーに向けて、これまでにないマットな質感と色合いに踏み込んでいる。数年をかけて開発したノーブルブラックの技術をもとに、今年3月には新色のノーブルトープを発売。
「衛生陶器できめの細かいマットな質感を実現することは非常にむずかしいんです」と、開発にあたった百瀬和巳さんは話す。「やきものは天然原料の土、釉薬ゆうやくを使い、焼成によってマットな表情をつくりだします。そのコントロールがとてもむずかしい。また、そのなかでもっとも品の良い質感を見極めることが重要でした」。
工場を案内してくれた神谷さんもノーブルレーベルの立ち上げに携わった。「施釉の工程は通常のトイレの8倍の時間がかかります」。2年前にリリース済みのノーブルブラックもボディの外側は黒だが、鉢内はピュアホワイトだ。「このように釉薬を2色施すのは初めてのケースで、2つの色をきれいに出すために、1色ごとにカバーで覆い、もう1色を施釉、カバーを外して乾燥します。それを人の手で繰り返さなければなりません」。一日につくれるのは数体だと神谷さんは話す。
今回の新色、グレイッシュなブラウン色のノーブルトープは繊細な中間色だ。マット感に加え、色合いを出すことも一朝一夕にはいかなかったと百瀬さんは振り返る。「テストピースで何百回と試作を繰り返し、狙った色に近づけていきました」。開発と製造現場一体の粘り強さでノーブルトープは誕生した。
ファッションの分野では女性の人気色であり、洗練された高級車の内装色として採用されているトープカラー。シックな色合いのSATIS(Gタイプ)ノーブルレーベルが加わったことで、トイレももっとインテリアとのコーディネートを楽しめるようになってきた。

百瀬和巳LIXIL トイレ・洗面事業部
衛陶開発部 部長
百瀬和巳
 Kazumi Momose
アクアセラミックの開発も担当。「画期的な防汚技術なのに目に見えないため、しばらく使ってやっと良さがわかる。地味な技術なんですよね」と笑う。

現代的なインテリアに合う質感と色合い、ノーブルトープ

ノーブルトープのSATIS(Gタイプ)約1坪のトイレをアンリ・ルソーが描いたジャングルのようなインテリアに。落ち着いたノーブルトープのSATIS(Gタイプ)が空間に溶け込み、まるでオアシス。床タイルはスタイルプラスアルティーザ。

取材・文/清水 潤 撮影/白石ちえこ(特記、製品写真をのぞく)

LIXIL SATIS
https://www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/satis/

SATISスペシャルサイト
https://www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/s/satis/

LIXIL
https://www.lixil.co.jp/
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『コンフォルト』2018 October No.164
https://www.kskpub.com/book/b479887.html

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公開日:2019年05月29日