トイレで環境を考える?!――藝大生がつくった上野トイレミュージアムオープン
『コンフォルト』2020 October No.175掲載
うんちタイルを〝ものづくり工房〟で
腰壁のタイルを排泄物からデザインしたのは工芸科で陶芸を専攻する田中泉さんと大槻
曲面のブース内は動物の野生の生活環境が描かれ、便座に腰掛けると目の前のドア面にほぼ等身大の臀部を見せた後ろ姿に対面する。ぐるりと巡る腰壁には排泄物の形やテクスチャーからデザインしたタイルが張られ、L字型の手摺りは真鍮の鋳物で、モチーフは動物たちの獲物や食物。擬音装置からは再現した鳴き声と背景音が流れる。やってきた人たちがこの空間で用を足しながら、どんなことを感じてくれるのか、その反響をプロジェクトに関わった学生たちは胸震わせて待っている。
LIXILものづくり工房を訪ね、タイルを学ぶ
LIXILものづくり工房
愛知県常滑市奥栄町1-130
tel 0569-34-8710
https://livingculture.lixil.com/ilm/ceramicslab/
ファサードデザインにも注目!
エントランスでは、内部から外に向けて建築専攻がデザインした唇のようなスチールプレートの両袖が設けられ、デザイン科によるサインが、来訪者を招いている。改修前は左右の壁面にルーバーが設けられていたが、撤去してスチールプレートに。通風、採光を兼ね、うんちタイルの形状をアレンジし打ち抜いた。正面の壁画はデザイン科が手掛けた。動物たち・ヒトと消化器官のシルエット。デザイン科のメンバーが科内で仲間を集め、ワークショップで仕上げた。
DATA
上野トイレミュージアム
所在地/東京都台東区上野公園
改修/2020年8月
施主/東京都
設計・監理/東京藝術大学美術研究科建築専攻 中山英之研究室
施工/東海建設
建築面積/49.95㎡
制作/東京藝術大学 美術研究科絵画専攻油画+壁画、美術研究科デザイン専攻、音楽研究科+音楽学部、美術研究科工芸専攻鋳金+美術学部工芸科陶芸
タイル制作協力/LIXILものづくり工房
オープン/2020年9月7日
自然循環を体感! 動物たちとのトイレタイム!
パンダブース
キリンブース
ライオンブース
トリのモザイク壁画、仕上げ中
ペンギンブース
パンダブース
取材・文/清水 潤
撮影/淺川 敏(特記をのぞく)
雑誌記事転載
『コンフォルト』2020 October No.175
https://confortmag.net/no-175/
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公開日:2021年06月23日