水盤上に浮く円弧状のリゾートホテル
ラグーナベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート
堀尾明(リゾートトラスト株式会社)、清水満(株式会社安井建築設計事務所)
ホテルの格が感じられる客室のしつらえ
堀尾明氏:客室の面積は48.59m2〜128.77m2あり、他社のホテルに比べて圧倒的に広くなっています。まずAB Conceptが客室のイメージを描き、日本側のデザイナーが、それに見合った材料を探してきて、テストルームをつくりあげていきます。客室においても、近未来を感じさせる曲線を多用した独特のデザインで、ほとんど直線がなかったので、難しい内装工事になりました。
テストルームとは、実際の客室と同じ材料で内装・外装を仕上げ、設備機器や家具などもすべて本物を設置して、空間のバランスや居心地などを検証するための部屋です。数億円かかりますが、弊社ではすべての物件においてこのようなテストルームをつくっています。
ラグーナベイコート倶楽部の場合は、タイプの違う3室を用意しました。オリジナル家具もすべてつくって、実際に座り、肘を置いてみて、そこにお客様が満足できるリッチ感があるのかどうか、一つひとつ検証をします。他の一般ホテルでは真似できない、会員制ホテルならではの特別感を感じていただけるかが重要なポイントです。
水まわりにおいては、広さや内装はもちろん、多くの客室に海を臨めるビューバスを採用し、個々の水栓金具、衛生陶器に至るまで、贅沢な空間演出を心掛けました。しかし、使い勝手ももちろん重要で、例えば、トイレやシャワーヘッドのレバーの使い方が分かりにくいのではお客様にご満足いただけません。ご年配のお客様やお子様にとっては、安全性も非常に大切です。
客室に限らず、共用部のトイレ、水まわりも、ホテル全体の高級感、品格、センスを感じていただくとても大切な要素です。特にロビー階、レストラン階のパブリックトイレは細心の注意を払い、全体のコンセプトに沿って内装材はもちろん、配置方法や動線、デザイン性や使いやすさなど細かくチェックします。高額の会員権をご購入いただいていますから、期待以上のものにしなければなりません。
ホテルを利用されたお客様の反応
堀尾明氏:実際にご利用されたお客様からは、おかげさまで大変高い評価をいただいています。近未来感や高級感が漂う“インスタ映え”するポイントをお客様自身が発見してSNSにアップされるので、私どもも楽しみにしています。
ベイコート倶楽部としては、当初より関東(東京、横浜)、関西、中部を想定しており、来年夏には4か所目の横浜が開業する予定です。今後については、お客様の声を伺いながら、次の展開を考えることになるでしょう。
最後に、この工事に携わった皆さんには、今までに見たことのないイメージを現実のものとしていくことに大変なご苦労をされたことと思います。多くの専門メーカー、技術者の方々の惜しみないご尽力を得て、こうして完成することができました。この場をお借りして心よりお礼申し上げます。
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公開日:2019年10月30日