LIXILエクステリアコンテスト2023受賞作品が決定
エクステリアでの時間を豊かにする新たな場所
『コンフォルト』2024 April No.196 掲載
LIXILエクステリアコンテストが2023年で46回目となった。全国の施工業者の発表の場であり、スタート当初は施工技術の向上が目的だったコンテストだが、建物の顔、施主の暮らし方の表現といった面が重視されるようになった近年は、デザイン性が大きな要素となっている。
今回5583作もの応募写真から選ばれた大賞作品もまた、施主のライフスタイルと使用したLIXIL製品、施工技術が相俟った美しい佇まいが魅力だ。ぜひとも実物を見てみたい。審査委員長の古橋宜昌さん(エクスプランニング代表)と、審査員でもある本誌編集長・渡辺未央が福岡県内の現地を訪ねた。
古くからの住宅地に立つ家は広い前庭に植栽がよく手入れされ、愛用のキャンピングカーを置くスペースも。受賞作は建物の脇を進んだ裏庭だ。途中にはガーデンシンクや、キャンプ道具を収納する小屋もある。そして庭にせり出しているのが2面にガラス引戸を用いた3坪近い明るいガーデンルームだ。
ここには元はオープンテラスがあった。アウトドア歴15年以上という施主は庭でBBQなど楽しむ日も多かったが、冬場や雨天だと無理だ。
「家でいつでも気軽にキャンプ気分を味わいたいというのが依頼のきっかけでした」と施主。
外との一体感を感じられるガラス戸を探す中でシャイニーガーデン株式会社二光を知って相談したのだという。同社の枇杷光二社長は「ちょうどLIXILプラスGシリーズのガラス引戸が出たタイミング。そこで、庭への視線を邪魔する枠や取っ手がないガラス引戸を使った提案をさせてもらいました」。
リビングから直接出入りできる空間だ。建物脇の通路や小屋のある面は壁を建て、炭火や灯油ストーブを使うため小さな換気扇と横滑り出し窓もつけた。BBQの臭いも問題ない。もちろん気候のよい季節はガラス引戸を開けて楽しむ。
実際に目にした古橋さんは評価のポイントを複数挙げた。
「まず、ここは北西向きですね。南にアプローチや駐車スペースがある。夏が暑くなっていますから、北に大きな窓のある空間を設けるのはとてもいいです。また、一般にはガーデンルームの天井は半透明素材がよく使われてきましたが、数年経つと汚れが気になるもの。ここでは不透明かつ木調の天井材なので室内感があり、汚れも見えず、ダウンライトで夜も楽しめます。リビングとの段差が少ないので出入りもラクですね。そしてフレームレスのガラス戸で外がとてもきれいに見えます。この製品の特色のひとつとして雨樋も隠れている。ノイズレスは今の主流です」
18年前に家を建てたときからの外壁や、施主自ら育ててきた植物などもこの空間の魅力を高める。「ガーデンルームから外を眺めた時に気になるのは道路や隣家が丸見えになってしまうこと。背景としての壁や植栽はとても大切です」(古橋さん)。
また渡辺は「ほんとうにきれいに中と外がつながっていますね。建築とエクステリアの間をつなぐような空間として快適な居場所であり、この開放感など、建築だけではできない状況をつくり出していることを実感しました」。
施工での苦心も深く感じたところだ。枇杷さんにとってこれはプラスGガラス引戸の初活用。建物との接合や換気扇設置などのカスタマイズを経て、施主の思いをかたちにした。「製品の進化と施工する皆さんの努力があってこそですね」(渡辺)。
この冬もガラス越しの庭を眺めて幾度となく火が焚かれた。テーブルには炭、ガス、灯油の熱源が並ぶ。忘年会には10人ほどが集ったそうだ。
「BBQルームは難しいとされますが、とても気に入っています」と施主。家族が寝た後、ひとりで火を楽しむ時間も小さな喜びのひとときだ。
取材・文/秋川 ゆか 撮影/梶原敏英(大賞作品)
プラスG Gスクリーン
LIXILエクステリアコンテストとは?
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公開日:2024年04月12日