インスタグラム攻略法 5つのポイントで脱・初級!

上田かおり(株式会社ゴデスクリエイト シニア・コンサルタント)

前回は、ホームページやSNSは営業力や業務効率アップへの一手にもなることをお話しました。今回は、もう少し踏み込んで、SNSで成果を出すためのポイントについてご紹介します。

タイトルからもお分かりの通り、今、住宅会社・工務店さまが取り組んでいるSNSの第1位と言えば、そう「インスタグラム(Instagram)」です。

インスタグラム運営の基本として、まずやるべきこととしては次のようなことがあります。

  • 施工事例を投稿する
  • ハッシュタグを30個付ける
  • 1日1投稿を継続する
  • 動画・リールを投稿する
  • ストーリーズを使う

最初は試行錯誤もあると思いますが、「諦めずに続けることが大切」です。
もちろん運営の方法は各社さまざまです。自社なりの基本的な運営ができるようになれば、次のステップとして「より成果を出す」ための取り組みに進みましょう。
今回は、そのポイントを5つご紹介します。

ポイント その1
「いいね!」が集まる写真を見つける

インスタグラムには「インサイト」という機能があります。今まで自社が投稿した写真に対して、ユーザーがどのようなアクションをしたかなどの結果をデータで確認することができる分析ツールです。投稿(写真)ごとに以下のようなものを知ることができます。

  • 「いいね!」の数
  • リーチ(投稿が届いた)数
  • コメント数
  • 動画再生数
  • 保存数

他にも、フォロワーの属性や、フォロワー以外の人に届いている内容、ストーリーズや動画の人気ランキングなど、毎日の写真投稿以外にもさまざまな結果を知ることができます。

皆さん、この機能を使っていらっしゃいますか?
まだという方は、今すぐ確認してみましょう!

インサイトの確認画面サンプル

ポイント その2
人気の写真を把握し、今後の投稿に生かす

社員数4名のA工務店さまの事例です。
A工務店さまは、過去に投稿した「家の外観写真」の「いいね!」の数を調べました。すると、外観のアップ写真ではなく、外観を引き気味に広く撮った写真に「いいね!」が集まっていることが分かりました。つい「施工したものを見せる」という観点で、外観を写真の枠いっぱいに撮りたくなりますが、ユーザーの目を引いたのは「引きで撮った写真、とりわけ、縦方向に広がりがある外観写真」が人気でした。さらにデータを見ると、同じ縦方向への広がりでも、特に「青空が入った写真」に「いいね!」が集まっていることを発見。雲の少ない青空が最もユーザーの目を引き付けていました。

この調査結果から「引きで縦方向に広く、青空が入った外観写真を投稿したい」と思われたのですが、投稿者だけではどうすることもできません。写真の撮影者の協力が必要です。早速、撮影する現場の方と情報を共有し、外観の写真はできるだけ縦向きで、かつ青空を入れて撮影する。もちろん青空を入れるにはタイミングが必要です。そこで晴れた日に写真撮影をする。これを業務上のルールとされたのです。

写真と「いいね!」数の関係
A.アップ写真 < B.引いた写真・曇り空 < C.引いた写真・青空

A.

B.

C.

※画像はイメージです。

ポイント その3
発見した法則をホームページにも生かす

工夫しながらインスタグラムを運営した結果、A工務店さまでは毎月100~200人がインスタグラムからホームページに流入するようになりました。インスタグラムで気になってわざわざホームページまで来てくださった方々です。絶対に逃したくはないですし、ホームページを楽しんで、自社を好きになってもらいたいですね。

そのためA工務店さまは、新たに2つの調査をし、工夫をしました。

1.「いいね!」が多い写真を調べ、「いいね!」の多い写真をホームページのトップページにたくさん掲載する。これは、インスタグラムから来た人が「インスタで見ていた会社とすぐに認識できる」「ブランドイメージを統一する」効果を狙うためです。

2.「いいね!」の多い物件を調べ、その物件をホームページの施工事例のトップの方に掲載する。これは、「インスタで見た物件がない」となることを避けるためです。

2.は「施工事例は施工順に並んでいる」という固定観念を覆す挑戦です。
これらの工夫はインスタグラムを知らずに、ホームページに来た人にも効果が高いと推測できます。人気の投稿=人目を引いた写真。そんな写真をホームページにもたくさんアップすれば、インスタグラムを知らない人にも「いいね!」と思ってもらえる可能性が高いためです。

ポイント その4
解説付き投稿(写真)を有効活用する

最近のインスタグラムでは、物件写真にあえて解説(文字)を付けた投稿が目立ちます。「解説付き投稿の方がいいのか?」といったご質問をお受けすることも増えました。これについて、ある工務店さまが自社アカウントで調査をしたところ、「解説付き投稿」と「解説なし投稿」では、「いいね!」の数は違いはなかったのですが、「保存数」に違いが出ました。

「保存」とは、投稿内容を後でじっくり見るためにユーザーが自分のインスタグラムに保存する機能です。わざわざ保存するのですから余程気になり興味がある投稿です。写真に解説が付いているか付いていないかで、保存数に10倍以上の違いが出ており、この工務店さまでは解説付き投稿に価値があると判断されました。

解説付き投稿(左)と解説なし投稿(右)の比較

解説なしに比べ、解説付きは「いいね!」数は1.3倍。保存数は17倍に!

またインスタグラムにはストーリーズを活用したアンケート機能があります。こちらで「解説付き投稿が好きか嫌いか」をフォロワーに調査をされたところ、回答者200人中87%が「解説付き投稿が好き」と回答。理由には「検索結果で文字がある方が目に付くからです♪ 文字がある投稿の方を押してしまいます」とのコメントもあり、改めて解説付き投稿がユーザーの興味喚起に効果があると確認されました。

ポイント その5
データは見るものではなく、知りたいことを見つける道具

「データ分析」と聞くと「難しい」「できない」と苦手意識を持たれがちです。確かに、データをただ眺めて何かを見つけ出すことは容易ではありません。データを確認する目的は「改善」です。「インスタで『いいね!』の数を増やしたい」という気持ちが持てれば『どんな投稿が「いいね!」を集めているか知りたい』という感情が生まれます。そこで初めてデータが活用できます。

ホームページやSNS運営は先輩や上司に教えてもらえず、たまにアドバイスをもらえても「こっちの方が良いと思う」という感覚的な意見も多く、それは人によってさまざまです。
このまま続けていいのか不安な時、「このやり方が良い」と導いてくれるのは客観的な数字です。これを味方に付けて運営できれば、気持ちも楽になり、自信を持って仕事をすることができます。

ただ続けているだけのマンネリ運営にならないよう「知りたい」という気持ちを持ちながら運営する。「知りたいことを思い付き、その数字が出せる力」つまり、発想力と実行力を身に付ける。発想力は「売りたい」という気持ちがあれば出てきやすく、実行力はGoogleアナリティクスやインスタグラムの参考書を活用する、または、専門のセミナーや勉強会でしっかり身に付けることが大切です。

いかがでしたでしょうか。
今、注目が高まるインスタグラム。基本的な運営ができ始め「さぁ次はどうしよう?」という皆さんは、ぜひ今回の内容を参考にして、初級から中級、上級を目指してステップアップしていただきたいと思います。

執筆者プロフィール

上田かおり(うえだ・かおり)
株式会社ゴデスクリエイト シニア・コンサルタント

1996年日本で初めて旅館・ホテルのインターネット予約システムを構築したことを機に、2004年住宅会社専門WEBマーケティング会社である(株)ゴデスクリエイトにてホームページシステム開発、WEBマーケティング戦略を行っている。最近はYouTubeやWEB広告、SNSに関するセミナーを多数開催。

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公開日:2022年04月20日