今、選ばれる建築会社になるために ー新築・リフォームの検討から実際に住んで気付いたポイントについての実態調査(調査編)ー
新型コロナウイルスの感染・拡大により、在宅時間が増え、家に対するニーズが変わりつつある現在。お客さまはどのような基準で建築会社を選び、決定しているのか。新築やリフォームの決定に関与する25~49歳の男女に、現在の傾向についてリサーチした。
年齢層が高いほど、建築会社の選び方に関心を寄せる傾向が高い
まず検討時の悩み事として、新築・リフォーム共通で、「費用計画」66.9%、「建築会社の選び方」49.3%、「家づくりのための情報収集」34.9%が上位にあがった。
「建築会社の選び方」について年齢別にみると、リフォームについては20代→30代→40代と年齢層が高くなるごとにプライオリティが高くなる結果となった。
図1 新築・リフォームの検討時の悩み事(MA)
7割が最初に相談した建築会社で施工
最初にアプローチされる会社になろう
建築会社の施工有無に関するリサーチ結果を紹介すると、全体では「最初に相談した建築会社で施工した」が7割弱を占める結果となった。
新築では「最初に相談した建築会社で施工した」が6割弱、リフォームでは、「最初に相談した建築会社で施工した」が8割弱と高い。
通常、建築会社の選定にあたっては数社見積りをとった上で決定するパターンが多いが、最初に相談した会社に施工を依頼するという結果から、いかにまず最初にアプローチされるかが肝心になると考えられる。
図2 最初に相談した建築会社での施工有無(SA)
会社選定の情報はどうやって?
新築は住宅展示場が突出、リフォームは以前お世話になった会社に。
世代によるSNSの活用具合にも注目
ではまず建築会社を選定する上で、情報はどこから得ているのだろうか。
こちらは新築とリフォームで、トップにあがった情報源の傾向が、新築では「住宅展示場」49.2%、「知人からの紹介」24.5%、「Web サイト(個々の会社のHP)」15.5%が上位にあがった。
リフォームでは「以前お世話になった会社」33.8%、「知人からの紹介」26.7%、「Web サイト(個々の会社のHP)」17.7%となっている。
また今回は紙媒体やチラシなど含む15項目を調査対象としたが、全体で「SNS」8.0%、「インターネット広告(バナー・動画広告)」5.8%など、インターネット関連が比較的高いポイントを出している傾向が見られる。
特に「SNS」は、40代→30代→20代と年齢層が若くなるごとにリフォーム・新築問わず活用のポイントが高い結果となった。
図3 建築会社選定情報(MA)
建築会社を選定した決め手は?
カギは、丁寧な対応と予算・資産計画のアドバイス
では実際にどのような理由をもって、建築会社を選定しているのか。
建築会社を選定した決め手について尋ねたところ、全体では「信頼性の高さ」、「丁寧な営業対応」、「予算・資金計画の親身な対応」が3割台で上位にあがった。
また新築では「丁寧な営業対応」がトップで、特に20代が4割を超えて高い傾向が見られる。
リフォームでは、「信頼性の高さ」、「予算・資金計画の親身な対応」 が3割を超えて上位。「適正な価格設定」については年齢層が上がるほど高い傾向が見られた。
図4 建築会社を選定した決め手(MA)
一番最初に相談した建築会社で新築・リフォームを実施した場合、以下の傾向が見て取れた。
- 【ハウスメーカー】の選定者における選定の決め手では、「丁寧な営業対応」、「アフターサービスの充実」、「会社の規模・経営の安定性」などが他項目に比べて高い。
- 【工務店・ビルダー】、【設計事務所】の選定者における選定の決め手では、「家から近い」が他項目に比べて高い。
- 【リフォーム専門店】の選定者における選定の決め手では、「予算・資金計画の親身な対応」、「適正な価格設定」といった金銭面での理由が上位で、他項目と比べて高い結果となった。
家づくりで譲れないポイントとは?
設備機器や住宅性能にも注目が
では次に、お客さまは家づくりにおいて譲れないポイントをどのように考えているのだろうか。
全体では「暮らしやすい間取り」が48.8%と最も高く、「収納の多さ・広さ」、「使い勝手の良い設備機器」、「掃除・お手入れしやすい設備機器」が3割台で続く。
新築では「暮らしやすい間取り」に次いで、「耐震性の高さ」「省エネ・高気密高断熱性の高さ」なども重視されており、「掃除・お手入れのしやすい設備機器」は20代が他年代よりも高い傾向を見せた。
リフォームでは、「暮らしやすい間取り」と「使い勝手の良い設備機器」、「掃除・お手入れしやすい設備機器」が同程度重視されている。また設備機器の「使い勝手」、「手入れのしやすさ」はいずれも20代でより重視されている。
図5 家づくりで譲れないポイント(MA)
実際に暮らして満足しているところは?
「譲れないポイント」はおおむね好評
住んでみて気づいた「よかった点」を尋ねてみた。
全体では「暮らしやすい間取り」が最も高く、「日当たり・眺望の良さ」、「収納の使いやすさ」、「家事動線の良さ」が僅差で続く。
新築では、前項【家づくりで譲れないポイント】上位にあげられた項目である「間取り」、「日当たり」、「収納」、「家事動線」、「省エネ・高気密高断熱性」などの評価が相対的に高い。
リフォームでは前項【家づくりで譲れないポイント】においては設備機器が重視されていたが、実際に住んでみた結果としても、「使い勝手の良い設備機器」、「掃除・お手入れのしやすい設備機器」が2割を超えて上位となった。
図6 住んでみて気づいたポイント「よかった点」(MA)
実際に暮らして困ったところは?
思ってもみなかったこんなところが……
では逆に、住んでみて気づいた「困りごと・不満な点」はどのようなものだったのであろうか。
全体では「特にない」が4割で、いずれの項目も1割以下で目立った困りごと・不満な点は見られない。
新築では、「照明・コンセントなどの設置位置」19.0%、「窓の配置」15.3%が上位。
リフォームでは半数弱が「特にない」と回答し、特に高年齢層ほど不満な点がない傾向が出た。
図7 住んでみて気づいたポイント「困りごと・不満な点」(MA)
お客さまは家づくりにはおおむね満足?
ただし不満点はゼロではない
さらに満足度を高め、「次」も選ばれる会社になる
これらのデータから、暮らしてみた結果「家づくりに対する要望」にはおおむね満足しているものの、住んでみて気づいた「困りごと・不満な点」として、新築では「照明・コンセントなどの設置位置」など、暮らし始めてから不便さを感じる傾向が見受けられる。
お客さまの「家づくりにおいて譲れないポイント」を実現するとともに、暮らす上で不自由をしない、きめ細かい提案・設計をできることが、信頼感や安心感につながり、「次」も選ばれる会社につながるのではないだろうか。
<調査概要>
調査名 | 新築・リフォームの検討から実際に住んで気付いたポイントについての実態調査 |
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調査対象 | 新築やリフォームの決定に関与する25~49歳の男女 【新築】:持ち家一戸建て(注文住宅)を2年以内に建築 【リフォーム】:持ち家の一戸建て・マンションで2年以内にリフォームを実施 (持ち家一戸建て(注文住宅)を2年以内に建築した人は【新築】に含める) |
有効回答数 | 1200 |
調査期間 | 2021年8月6日(金)~ 8月11日(水) |
調査方法 | インターネット調査 |
調査実施機関 | LIXIL |
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公開日:2021年11月24日