コロナ禍でリフォームを実施した50代・60代への調査(調査編)
新型コロナウイルス感染が拡大した2020年。そうした中、自宅をリフォームした50代・60代に対し、コロナ禍での生活の変化や、リフォーム後の困りごと、リフォーム依頼先などについてどのような考えを持っているか調査した。
在宅時間の増加で生活に変化あり。男性は在宅ワーク、女性は家事負担が増加
まず、コロナ禍における生活の変化について尋ねたところ、「休日の外出を控えるようになった」が54.2%で最も多く、「外食の機会が減り、自宅で食事する機会が増えた」(48.0%)、「ネットショッピング・通信販売の利用が増えた」(34.8%)と続いた。
男女差を見ると、「自宅で仕事をするようになった」の回答は男性22.0%、女性8.3%と男性が女性より13.7ポイント高かった。また、「食品・日用品をまとめ買いするようになった」、「家事が増えた」、「家の片づけや模様替え、修繕をした」では、全体より女性の割合が高いのに加え、男性の回答を10ポイント以上上回った(図1)。
年代・性別の3次クロスで詳細を分析すると、50代男性では「自宅で仕事をするようになった」が全体より11.5ポイント高い26.7%で最も高く、また50代女性では「家事が増えた」において全体を15ポイント上回る38.0%となった。
図1 コロナ禍における自宅での生活の変化(MA)
リフォーム実施場所は水まわりがトップ3
リフォームを行った場所を尋ねると、「トイレ」が40.7%で最も多く、「浴室」、「洗面室・脱衣所」が同率の35.3%で続いた。次いで多かったのが「キッチン」(34.3%)で、水まわりが上位を独占した結果だ。また、「外壁」(33.2%)、「屋根・雨どい」(28.2%)も3割程度を占めている(図2)。
図2 リフォームをした場所(MA)
リフォーム実施内容のトップは「水まわり設備機器の取替えや追加」
具体的なリフォーム内容としては「水まわり設備機器の取替えや追加」がトップで49.8%。次いで、「内装の変更」(48.3%)、「外装のリフォーム」(38.0%)となった。また、上位とは30ポイント以上の差はあるものの、「収納スペースの改善」が14.8%で続いている(図3)。
2019年9月にも同様のアンケート調査を行っているが、リフォーム実施場所・内容について今回の調査では、大きな傾向の違いは見られなかった。
図3 リフォームをした内容(MA)
リフォーム後も「住まいに困りごとあり」が6割以上も
リフォーム実施後の住まいの困りごとについても調査を行った。
結果は、リフォーム実施済みにもかかわらず「特に困りごとはない」は35.7%にとどまり、6割以上がいずれかの困りごとを選択した。その中でトップだったのが、「家の老朽化や設備の経年劣化」(27.0%)。リフォーム後でも引き続き、今回の実施箇所以外の古くなった部分が気になっており、リフォームや設備の取替えを継続的に必要としていることが分かる。
その他、「部屋が片付かない」(20.2%)、「老後の住みやすさへの不安」(16.3%)、「暑い・寒い」(16.2%)、「光熱費がかさむ」(14.5%)などが困りごとの上位を占めており、具体的な提案につながる可能性として注目できる(図4)。
図4 現在の住まいの困りごと(MA)
今後のリフォームニーズと現在の困りごとから提案のヒントを
今後やってみたいリフォームや欲しい設備については、「整理整頓しやすい収納」(20.0%)、「使いやすいシステムキッチン」(19.2%)、「防音や断熱に効果のある内窓」(15.2%)がトップ3を占めた。
特に、1位の「収納」については「住まいの困りごと」でも2位となっており、提案次第ではプラスαのリフォームにつながる可能性がある。同じく、3位の「内窓」も、困りごとの上位に挙げられた「暑い・寒い」を解決するアイテムとして、リフォーム提案の余地がありそうだ。
性別で見ると、多くの項目で全体の回答より女性のポイントが上回っている傾向にある。中でも「整理整頓しやすい収納」(24.7%)、「衛生的なタッチレス水栓」(16.0%)、「節水・節約アイテム」(14.0%)、「好みのインテリアへの変更」(13.0%)では、男性より女性の回答が5ポイント以上上回った(図5)。
図5 今後やってみたいリフォームや欲しい設備(MA)
さまざまな視点からリフォーム依頼先を選定
50代・60代はリフォーム会社を選ぶ際にどのような点を重視しているのだろうか。
依頼先選定のポイントを尋ねたところ、「工事内容に対して納得できる見積金額」が71.5%で最も多く、「リフォーム依頼先や担当者に信頼性が感じられた」(65.2%)、「見積りや提案内容のわかりやすさ」(64.5%)が続いた。また、「リフォームの知見や実績が豊富」(62.5%)、「保証、アフターサービスが充実している」(60.2%)も6割を占めており、コストパフォーマンスだけではなく、実績やサービス品質を含めて信頼できるかどうかも選定の大きなポイントになっていることが分かる(図6)。
図6 リフォーム依頼先を決める際、重視するポイント【全体】(MA)
年代・性別で見ると、全体より総じて高い傾向にあったのが50代女性だ。「リフォーム依頼先や担当者に信頼性が感じられた」(72.7%)、「感染症対策がしっかりしている」(29.3%)など6項目で、50代女性の回答が全体より5ポイント以上高い結果となった。特に、「助成金(補助金制度)などの情報提供がしっかりしている」に至っては42.0%と、全体(29.7%)より12.3ポイント高く、こうした消費者マインドもうまく提案に取り入れ、時にはプランの詳細説明だけではなく、お客さまの費用負担軽減につながる+αの情報提供で自社の存在感をアピールすることもポイントと言える(図7)。
図7 リフォーム依頼先を決める際、重視するポイント【年代×性別】(MA)
対面打合せではコミュニケーションを重視
打合せなどにおいて、実際に会って話す「対面」、もしくはパソコンやスマホなどを活用して話す「非対面」、どちらを希望するかを尋ねたところ、「基本的に『対面』を希望」が56.2%で最も高かった(図8)。
対面希望の理由としては、「実際に会った方が話しやすい」が80.0%で最も多く、「実際に会って、人柄などを確認したい」、「商品などを直接見て確認したい」が同率の72.5%で続いた。3位以下の「パソコンやスマホ操作が苦手、面倒(10.5%)、「インターネット接続の環境やパソコンなど機器がない」(1.7%)の回答と大きな開きがあり、自宅のネットワーク環境やオンライン対応そのものへの抵抗感が理由ではないことがはっきり分かる(図9)。
先述した「依頼先選定ポイント」の設問でも「リフォーム依頼先や担当者に信頼性が感じられた」の回答が上位となっていることから、信頼できる会社・担当者であるかを見定めるために、対面でのコミュニケーションを希望していると推測できる。
図8 リフォーム依頼先との打合わせにおける対面・非対面の希望(SA)
図9 対面の希望理由(MA)
【調査結果概要】
■コロナ禍における生活の変化
- 全体のトップは「休日の外出を控えるようになった」(54.2%)。
- 性別では、「自宅で仕事をするようになった」で男性の回答が女性より13.7ポイント上回り、「家事が増えた」など家事負担に関する項目では女性の回答が男性より10ポイント以上高かった。
■リフォーム実施内容
- リフォーム部位は、「トイレ」、「浴室」、「洗面室・脱衣所」と水まわりが上位を占めた。
- リフォームの実施場所・内容の傾向について、今回の調査では、2019年9月実施の調査結果と大きな変化はなかった。
■住まいの困りごと、今後のリフォームニーズ
- リフォーム実施後にもかかわらず、6割以上が困りごとを抱え、「家の老朽化や設備の経年劣化」、「部屋が片付かない」、「老後の住みやすさへの不安」が上位となった。
- 今後やってみたいリフォーム・設備では「整理整頓しやすい収納」が全体の20.0%で最も多く、困りごとでも上位を占めた収納は、追加のリフォーム提案につながる可能性が高いと言える。
■リフォーム依頼先の選定ポイント、打合せ時の対面・非対面希望
- 「工事内容に対して納得できる見積金額」が全体の7割を占めたが、「リフォーム依頼先や担当者に信頼性が感じられた」、「見積もりや提案内容の分かりやすさ」、「リフォームの知見や実績が豊富」なども6割以上あり、コストパフォーマンスだけではなく 、会社や担当者への信頼性も重視していることが分かる。
- 打合せにおける対面・非対面希望では、対面希望が優位で、その理由は「実際に会った方が話しやすい」、「実際に会って、人柄などを確認したい」が上位を占め、対面コミュニケーションを通じて信頼できる会社・相手かを見定めたいという心理が読み取れる。
調査名: | 50代-60代 リフォームに関する意識調査 |
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調査対象: | 全国にお住いの51歳~69歳既婚男女 1年以内のリフォーム経験者、持ち家【戸建・マンション】居住者 |
有効回答数: | 600 |
調査期間: | 2021年1月27日~29日 |
調査方法: | インターネット調査 |
調査実施機関: | LIXIL |
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公開日:2021年03月29日