独立・起業に向いている人と向かない人の特徴

中小企業診断士 市岡直司(株式会社市岡経営支援事務所)

世の中には、様々な仕事・職業があります。その幾多の仕事・職業の中には、人によって向き・不向きが少なからずあるものです。

もちろん、「独立・起業」に向いている人もいれば、向いていない人もいます。

今回は、独立・起業にあたってどういった特徴がある人が向いているか、あるいは向いていないのかを見ていきましょう。

独立・起業に向いていない人

創業スクールや起業塾などで講師をしていると、面白い現象に気づきます。創業系のスクールに参加される方は、おおむね2つに分かれます。

①すでに独立・起業している人(起業を決め、準備中の人を含む)
②これから独立・起業しようとしている人(検討中、起業時期が未定)

創業系スクールの参加者は、ほとんどが①のすでにビジネスを始めている人か、起業を決め、準備中の人です。ところが、一定の割合で②の「これから独立・起業したい人」がいます。そして、この「これから独立・起業したい人」というのが一番やっかいです。

「これから独立・起業したい人」や「時期が決まっていない起業予定者」が、実際に起業する確率はかなり低いです。具体的な期限がなく、「将来は独立・起業したい」と発言をする人のほとんどは、起業するにいたりません。

「将来は起業したい」と公言する人ほど起業しないのです。これはいったいどうしてなのでしょうか?

本当に独立・起業する人というのは、「したい」と言う前にすでに行動しているものなのです。つまり、すでに起業しています。

独立・起業に向いている人の最大の特徴は「決断し、行動する」ことができる人です。少し抽象的な言い方をすると「主体性」「能動性」がある人です。

端的な例でいうと、以下のような発言を普段からしている人は、独立・起業に向いていない可能性が高いので、注意が必要です。

「起業したいんですが、何をすれば成功できますか?」
「○○で起業しようと考えていますが、何をしたらいいですか?」
「○○で起業したいです。何か良いアドバイスをください」

などです。このような発言をする人は、何かをする前に他人にアドバイスや意見を求める行為を無意識にしています。自ら行動する前に他人に答えを聞くという行動には、主体性が欠如しています。

まずは自分で行動してみる、自分で調べてやってみることが最低限必要です。このような人に具体的なアドバイスをしても、実際に行動することはほとんどないと断言できます。主体性がない人は、何か問題や壁に直面したとき、自ら考え調べてみるといった行動の前に、「他人に答えを聞く」という行動を取ってしまいます。

独立・起業して経営者となれば、「正しい答え」を教えてくれる人はいません。どこかに正しい答えがあるのではなく、すべて「決断し、実行する」中から見つけていかねばなりません。可能性を自分で考え、仮説を立て、実行し、ダメならまた別の方法を考える。正しい道を示してくれる人はいません。そういう意味において、主体性がない人は独立・起業には向いていないと言えるでしょう。

独立・起業に向いている人

独立・起業に向いている人は、向いていない人の逆、「決断して、行動」できる人。つまり人生を主体的に生きていける人ということになります。

特徴としては

「まず自分でやってみるのが好き」
「上司に指示されなくても自分で仕事を見つける」
「知的好奇心が旺盛で、仕事にも積極的」

に該当する人は独立・起業に向いている人と言えるでしょう。

独立・起業して個人事業としてやっていく場合でも、会社を経営する場合でも起業家・経営者はさまざまな困難やトラブルに見舞われます。会社員でのトラブルは、自分ひとりで解決しなくてもよかったかもしれませんが、起業したからにはすべて自分で判断し、行動を起こさなければなりません。

行動が遅れたり、判断が誤りだったりすることで、会社がつぶれるリスクもあります。精神的に強くないと、次々と押し寄せるトラブルに対処しきれない可能性もあります。

そういう困難で不確実な状況においても「行動できる」、もっと言えば「主体的に実行に移せる」という特徴がある人は、真に独立・起業に向いている人です。

そして起業成功の必要条件としても、「主体性」や「能動性」といった部分が必要不可欠です。

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公開日:2018年10月30日